AIワーカーとは何か―― 使う道具ではなく、隣で動いてくれる存在

AIワーカーとは何か―― 使う道具ではなく、隣で動いてくれる存在

前回は、人手不足と属人化という二つの壁を越える存在として、AIワーカーという考え方を紹介しました。今回は、その中身を掘り下げます。AIワーカーとは何なのか、そしてこれまでのツールと何が違うのかを、順番に見ていきます。

先に一言でまとめると、AIワーカーとは、人が操作するツールではなく、人の隣で一緒に動いてくれる存在のことです。

1. ツールでも、増員でもない第三の選択肢

これまで、業務の悩みを解決する方法は、大きく分けて二つしかありませんでした。人を増やすか、ツール(SaaS)を導入するか、です。

ところが、いまはそのどちらも難しくなっています。採用したくても人は集まらず、ツールを入れても、結局はだれかが使いこなさなければ成果につながりません。便利な道具がそろうほど、それを操作する人の手間はむしろ増えていきます。

AIワーカーは、このどちらとも違う三つめの道です。新しい人を採用するのでも、新しい道具を買い足すのでもなく、手のかかる仕事はAIワーカーに任せ、人はその隣で本来の仕事に向き合う。ツールを使いこなすというより、仕事を任せられる相手が、現場で一緒に動いてくれる。そんなイメージです。

2. これまでのツールと、何が違うのか

では、これまでのツールと具体的にどこが違うのでしょうか。違いは、大きく二つあります。

ひとつは、SaaSとの違いです。これまでのSaaSは、人の作業を効率化するための道具でした。入力を速くし、情報を整理し、共有をスムーズにする。便利ではありますが、主役はあくまで人で、ツールはそれを助ける脇役にすぎません。使う人がいなければ、動きません。一方のAIワーカーは、人に使われるのではなく、人と並んで働く存在です。リストをつくり、連絡を書き、見積もりを用意し、問い合わせに答える。手のかかる作業を自分から引き受けながら、人と一緒に仕事を前へ進めていきます。

もうひとつは、チャットボットやRPAとの違いです。調査会社のガートナーは、その違いを自律性にあると説明しています。ガートナーによれば、チャットボットやRPAがあらかじめ決められた手順どおりに動くだけなのに対し、AIエージェントは状況を理解し、自ら段取りを組んで目的を達成しようとします。決められた作業をこなすのではなく、目的に向かって自分で考えながら動く。だからこそ、指示を待つだけの道具ではなく、一緒に動くパートナーになれるのです。

3. AIワーカーと、どう働くのか

イメージしやすいのは、営業の流れです。だれにアプローチすべきかを考え、相手に合わせて連絡をとり、問い合わせに答え、見積もりや提案を用意し、その後のフォローまで続ける。こうした、くり返しが多く時間のかかる仕事を、AIワーカーが隣で引き受けてくれる。その間に人は、相手とじっくり向き合うことに時間を使えます。

PartnerPropが開発しているaiboo(アイボー)も、パートナービジネスの現場で、人と一緒に動く存在をめざしています。どこまでを、どんなふうに任せられるのかは、これからの連載で順番にお伝えしていきます。

ここで大切なのは、ひとつひとつの機能よりも、ツールを使いこなすのではなく、仕事そのものをAIワーカーに任せるという、発想の転換のほうです。

4. それでも、決めるのは

AIワーカーは、人の代わりにすべてを決めてしまう存在ではありません。AIが手を動かし、人が方針を決める。この二人三脚があってはじめて、AIワーカーは力を発揮します。

むしろ、わずらわしい反復作業を隣で引き受けてもらえるからこそ、人は本来の仕事に集中できます。信頼を築き、相手の課題を見つけ、提案する。そうした、人にしかできない仕事に専念するために、AIワーカーは一緒に動きます。前回お伝えした相棒という言葉には、そんな意味を込めています。


次回は、AIと人がどのように役割を分け、どう協働していくのかを、もう一歩具体的にお話しします。AIに任せられること、人にしかできないこと。その境目を見ていきます。