日本においてまだまだナレッジの普及が進んでいないパートナービジネスの領域。その課題解決を目指して最先端の代理店・パートナーに関する知見を発信し続けているトッププレイヤーが日本代理店協会だ。数多くの代理店ビジネスに関わってきた日本代理店協会会長の佐藤氏に話を伺いながら、パートナービジネスの極意を紐解いていく。

日本代理店協会 会長 佐藤 康人
株式会社プライスレス 代表取締役。サブコン・営業代行会社・生命保険会社を経験した後に独立。営業代行に従事する中、代理店領域のコンサルティングにも進出し、「日本で唯一の代理店構築コンサルタント」として活動を開始。代理店コンサルティング事業が軌道に乗り、より大きな事業の展開を模索する中、日本代理店協会を設立し、会長に就任。パートナービジネスにおける最先端の知見を発信している。
日本代理店協会とは
ー日本代理店協会はどのような活動をされているのですか
日本代理店協会は、企業が代理店ビジネスを適切に構築・運営できるよう支援するための組織です。協会の運営メンバーには、代理店やフランチャイズビジネスに精通した専門家が集まり、企業の代理店構築を支援しています。
活動内容としては、代理店本部向けの教育プログラム、無料の代理店構築マニュアルやチェックリストの提供、各種セミナーの開催などを行っています。また、代理店を探している企業(ベンダー)と代理店になりたい個人・法人(パートナー)をつなぐための情報提供も行っています。
基本的に、協会の情報提供や相談は無料で行っており、運営に共感するメンバーが支援を行っています。
代理店ビジネスに関心を持つ企業や個人にとって、有益な情報を提供し、業界全体の発展に貢献することを目的としています。現在、情報コンテンツの拡充にも力を入れており、より多くの企業や個人が正しい知識を得られるよう取り組んでいます
日本のパートナービジネスにはナレッジが不足している
ーベンダー(本部)視点で、パートナービジネスの課題について教えてください

まずフランチャイズ、それから代理店の活用を経験している会社さんが非常に少ないことです。
基本的な知識でパートナービジネスを円滑に展開できることすら知られていないのだと思います。だから、皆さん足踏みをしたりとか、簡単な失敗をしてしまったりするケースが非常に多いっていうのが、問題・課題かと思っています
ー少し進んでいる、着手している企業さん含めてその他の課題はありますでしょうか?
基本的に、大手でも、パートナービジネス担当者は非常に人数が少ない。その上、兼務しているパターンも多いので、かなり業務効率が求められます。
その中でよくある失敗としては、とにかく代理店獲得数に目標をおいてしまうというパターンです。
トップ経営層はパートナービジネスを経験をしていないケースが多いので、とりあえず何でもいいから代理店契約を200件獲得するというパターンはよく見られます。
一方で、契約を頑張って取ったとしても、契約後の代理店の方に、売り方を教える時間をかけられない。結果、代理店側からツールの提供や課題解決ができないので、200社契約して売上ゼロっていうことが普通に起こっている。これは大きな課題ですね。
ーこうした課題に対して、ベンダー(本部)はどのように取り組むのがいいでしょうか?
何よりも知識と経験が必要だと思います。まずベンダー側がパートナービジネスに関する圧倒的な知識を身につけることが重要かなと。経験はある程度時間がかかりますが、知識は努力でカバーできます。その中で例えば当協会(日本代理店協会)の情報などを参考にしてもらえるといいのではと思いますね。
ーなるほど。ナレッジが大事なんですね。ちなみに、その他に大事な要素などありますでしょうか?
そうですね、あんまりお話したことない話ですが、やっぱり「思い」は大事だと思います。
代理店さんをまずは幸せにするっていうところに価値を置いている会社や、代理店さんあってこその本部だっていうような思いを持ってる会社は、かなりしっかりしたパートナービジネスの制度を持っていますから。
こうした制度は一朝一夕には出来ません。自社の状況に合わせた不断のカスタマイズが必要で、そのモチベーションのベースとなっているのは「思い」です。数多くのベンダーさんとご一緒する中でそこは逆に私が教わったところですね。
パートナービジネスの初心者の方にまず伝えたいのはこの部分です。
ーありがとうございます。一方で、パートナー視点でのパートナービジネスの大事な要素は何でしょう?

今取り扱っている商品が本当にマッチしているのか考えることですね。
たまたま出会ったこれがいいなっていう商品とかサービスに飛びつくのではなく、きちんと自分で判断する、もしくは相談できるような人と選ぶことが、まず大事だと思います。
具体的には、自分のキャリアや今まで経験したことを生かせるようなサービス、商品のベンダーを選ぶなどですね。
ーなるほど、この点、パートナーはどのように取り組むのがいいでしょうか?
ぜひ伝えたいのは、1社だけではなく、複数社と契約しましょうという話です。
1社で契約していた会社さんがうまくいかなかった場合に、そこから探し直すと、半年程度時間を無駄にすることになります。
パルテノン経営といって、一本の柱が崩れると苦しいので複数の柱を持つべきというマーケティング理論がありますが、これをぜひ代理店の皆さまにやっていただきたいですね。
そもそも、代理店になるメリットはこうしたポートフォリオを持てることも大きいと思います。
これから先伸びていくであろうビジネス商材を選び放題ですから。そのために、商材をきちんと選ぶという目利きが必要になりますね。
ーありがとうございます。他に伝えたいことはありますでしょうか?
パートナーの最終的な理想像としては、単に代理店として活動するだけでなく、将来的にはベンダー側に回ることを目指してほしいです。
最初は知識やノウハウを学ぶ立場でも、いずれは独自の商材を持ち、ビジネスを展開できる存在になること。是非とも、このような目標を持ってほしいです。
そうするとベンダーの苦労がわかるし、どういうことを教えて欲しかったかもわかるので。
パートナーさんが成功するという好循環をいかに早く作るかというのが重要で、代理店の皆さまがそういう視点でベンダーも選んでいただくと、社会全体の効率性も上がると思います。
パートナービジネスDXの必要性が知られていない
ーパートナービジネスにおけるDX化の遅れはなぜ発生したのでしょうか。
先ほどお話したように知識の遅れ、知識の不足が大いに関係していて、何が必要か・何をしなければいけないのか、がわからないためにシステムを入れる必要性を感じていなかったと思います。
少人数で本部を運営しているので、DXはもちろん導入すべきだし、AIも含めて、必要なツールはフルに活用するべきだと思います。
例えば教育一つをとっても、毎回同じ人が時間かけて研修していますよね。しかも内容が毎回違う。それであれば社⻑が思いを語って動画にしておけば、実はそれで済んだりする。細かい指導は現場で教育すればいいっていうふうに考えるとさらに効率的になると思います。
また、成果に関しても、最終的な数字や売り上げだけチェックしてるケースが多いですが、実はその途中経過が大事です。
リードの件数も含めて、どういう活動をして高い成果を出してるのかという情報がわかれば、成功するパートナーも増やせる。そこをDX化しないと、途中経過がわからないままです。
知識も経験も少ない上に、勘で進めているという状態は大企業であれ、一刻も早く改善した方がいいと思いますし、改善はそんなに難しくないと思います。
日本代理店協会の取り組み
ーこうした課題に、日本代理店協会としての支援や政策はありますか?

日本代理店協会としては、2024年より「優良ビジネス認定制度」を導入し、第三者機関による評価を実施しています。
この制度では、契約、募集、販促、教育、支援といった各項目において優れた制度を有する企業を、ゴールド、シルバー、ブロンズのランクで認定します。
これにより、パートナービジネスの質を向上させ、より多くの企業が適切な制度のもとで成長できる環境を整えています。
成功事例を広め、新規開業を増やしていく
ー日本代理店協会様の今後の展望を教えていただけますでしょうか?

開設時から設けている数値目標があって、新規開業率を20%という目標を掲げています。
この数字は決して低い目標ではないと思います。一部の大手企業、大会社がうまくいけばいいではなく、世の中の99%を占める中小企業そしてベンチャー企業が成功できる世の中を作り、20%の開業率に繋げていきたいです。
その模範を日本に示すことができたら、もっと世の中が良くなる。ビジネスを成功させるなら、まずは代理店というような世の中になればいいと思っていますし、我々としては、その事例を作っていくことが使命だと思っています。
我々も13年間やってきて、まだまだこういう協会があったんですかって言われるぐらいです。まだまだできてないことが沢山あるので、皆さんと一緒にこの日本を良くしていきたいという思いですね。
日本代理店協会の公式サイトはこちらから
https://j-dma.org/