売上の100%パートナー経由!<br>ーBox Japanが語るー<br>パートナーマーケティング<br>3型の全貌│PartnerLab|パートナーラボ

売上の100%パートナー経由!
ーBox Japanが語るー
パートナーマーケティング
3型の全貌

業界
IT/SaaS
株式会社Box Japan
安達 徹也 氏

概要

株式会社Box Japan 上席執行役員 チャネル営業本部 本部長
兼 アライアンス・事業開発部 部長 安達徹也氏
1995年から国内通信会社にて、ネットワークサービスに関する企画・開発・協業などに従事し、2009年より、日本ベリサイン、シマンテックにてセキュリティ製品のプロダクトマーケティングなどを担当。2015年 Box Japanの事業開発の責任者として、アライアンス、製品連携パートナーの開拓、パートナーシップの強化を担当。2020年よりチャネル営業本部の責任者を兼務。このような経歴を持つ安達氏に今回は売り上げ100%のパートナービジネスの基盤「パートナーマーケティング」について詳しくお聞きしました。

目次

クラウドストレージから「情報活用基盤」へ


ーまずはBox Japan社のサービスについてご紹介いただけますでしょうか?

Boxはクラウドストレージと言われることが多いのですが、実際には完全に企業向けに特化したコンテンツ管理プラットフォームです。個人向けのファイルサーバーやパーソナルドライブの代わりではなく、全社基盤として導入いただくことを前提に設計されています。ファイルサーバーを廃止して、情報管理基盤として活用いただくイメージです。

ここ1、2年の大きな変化としては、AIの世界が広がってきたと感じております。その変化と同時に弊社のカバー領域も広げていて、多くの企業がBoxに情報を集約している状態を強みとして、その情報をAIで活用していく方向に進化しています。

つまり、情報管理基盤だけではなく、「情報活用基盤」へと拡張しています。例えば、録音した音声をBoxにアップロードすれば、AIが要約や文字起こしを自動で行ってくれる。情報を保存するだけではなく、それを活用するためにAIを使うというのが、今のBoxの姿ですね。

売上の100%がパートナー経由―立ち上げから貫く戦略


ー貴社のサービスはどのようなチャネルで販売をしているのでしょうか?

非常に特徴的でして、100%パートナーモデルで販売しており、直販はしていません。ハイタッチ営業は完全にパートナー様と一緒に動きます。つまり、パートナー様だけに任せるのではなく、パートナー様と伴走するハイタッチ営業が案件を一緒に同行しています。SMB(中小企業)まで含めて、全てのセグメントを網羅しています。人数配分でいうと、パートナー営業に対して、ハイタッチ営業が10倍近い人数がいるという構成です。そのハイタッチ営業の責任者は、ハイタッチ営業のメンバーに「パートナー様とのエンゲージメントを高めるのもハイタッチ営業の仕事だ」という号令を出していますね。

ー100%パートナーモデルというのは、最初から直販がなかったのでしょうか。それとも途中から移行されたのでしょうか。

最初からパートナーモデルのみですね。そして、これは日本支社だけです。これは、初代の社長、現会長が立ち上げ時に意思決定しました。その時に重視したのが、「プロダクト・パートナー・フィット」です。Boxは基盤系のソリューションで、セキュリティやインフラに強いパートナーが最適だった。日本でいうとSIer各社が力を持っているわけです。だから、SIer各社とどうやったら組みやすくなるかと考えた時に、100%パートナーモデルが最適だろうという判断をしました。

一次代理店×二次代理店の階層構造で実現する300社体制


ー現在、パートナーは何社くらいいらっしゃるのでしょうか?

国内に300社のパートナー様がいて、引き続き増えています。この300社の方々にどうやってより売っていただくかというのがパートナー営業の注力領域です。

ただ、300社という規模を作れた理由は、二次代理店という2階層構造を持っているからです。一次代理店は、強い関係性や信頼がある状態の中で、「Boxも扱ってください」という形なので、一次代理店の先にいる二次代理店はエントリーしやすい仕組みになっています。直接300社と契約していたら、今のパートナー数は絶対に達成できていないと思います。これは一次代理店の力を借りたモデルの勝ちパターンだと思います。

個人と企業、両輪でのモチベーション設計


ーパートナーとともに成長していく中で、どのような工夫をされているのでしょうか?

大きく分けて、リクルーティング、イネーブルメント、伴走支援の3つのフェーズがあると思っています。特にイネーブルメントでは、イネーブルメントプログラムを作っていますが、ポイントは、100人のハイタッチ営業がいるという強みを生かして、パートナー様に「案件のクローズまで完全にパートナー様のみで行えるようにすること」を目的としたプログラムにはしないことです。

弊社の狙いとしては、案件の進め方や業界特性、ユースケースなど個別の要素が複雑になるので、そこはハイタッチ営業が支援しますというのが前提にあります。つまり、ハイタッチ営業にお声がけをいただくところまでの、案件を作るところにより軸足を置いたイネーブルメントを提供しています。

ー個人へのアプローチとして、認定資格制度があるとお聞きしました。

はい、そうです。できるだけパートナー様のBox製品担当者だけではなく、営業の方にも認定資格を受講いただくようにしています。パートナー様によっては、担当者が認定資格を取ったら、社内の昇格の査定にプラスになるように、人事と交渉していただくケースもあります。パートナー様の営業の方が、認定資格のために時間を費やすことを業務として認められるような仕組みづくりをすることも大事な要素だと考えています。あえて制度化することで、資格を見える化しています。

ー認定資格制度はパートナーランク制度とは別のものでしょうか?

少し異なります。パートナーランク制度は企業単位でランク付けをしますが、認定資格は個人が対象です。ただ、個人と会社の両方をモチベートする目的で、弊社のWebサイト上に、各パートナー様で認定資格を持った方が何人いるかを表示しているんですよ。資格を持った人が多いと安心感がありますよね。それを理由に、より多くの方に資格を取得していただくように促すことができます。

ー企業へのアプローチはどのようにされているのでしょうか?

二次代理店は前年度の販売実績に応じて、パートナー様にグレードを設定しています。そのグレードによって、インセンティブを設計していますね。ここで言うインセンティブとは、短期的なキャッシュバックという狭義のインセンティブではなく、広く動機づけという意味でのインセンティブの設計が大切だと思っています。

一次代理店については、私たちは単なる取引先ではなく「仲間」として向き合える関係を築きたいと考えています。「このビジネスを一緒に伸ばしていこう」と同じ目線で取り組んでくださる方々と、これからもご一緒したいと考えています。

そうした前提のもとで、長期的な協業を見据え、コミットするリソース量の確保や契約上でのKPIの設定などをしっかりと行なっているんです。

ーかなり対等な関係ですね。

本当に対等というのは強く意識しています。逆パターンもあるんですよ。直販を行っていて、ハイタッチ営業が強いところだと、例えばパートナー様を蔑ろにしがちで、「どうせ売ってもらえない」とか「ベンダーの製品を分かってくれない」という不満も表しがちです。しかし、弊社として、その点はしっかりと相手の事情も理解し、意識しながら、お互いにとってメリットがあるパートナーシップを常に意識するようにしています。

パートナーマーケティング:3つの型と戦略的意義


ー貴社では「パートナーマーケティング」という概念を重視されているとお聞きしました。

はい、「パートナーマーケティング」を非常に重要視しています。弊社ではパートナーマーケティングには、大きく分けて3つの型に分けて考えています。「Byパートナー」「Withパートナー」「Toパートナー」の3つですね。

ーそれぞれ、どのような内容なのでしょうか?

Byパートナーは、いわゆるMDF (Marketing Development Fund) のイメージです。「施策費用を当社が半分負担するので、パートナー様側でマーケティング施策を実施してください」という形で、企画はできるが予算がネックになっているパートナー様を主な対象にしています。

Withパートナーは、パートナー様との共催施策です。「当社もコンテンツを提供しますし、企画も一緒に作ります。事前準備も基本的にこちらで担うので、パートナー様はスピーカーとしてご参加ください」というイメージです。これがWithパートナーです。

Toパートナーは、パートナー様の営業担当者に向けたマーケティングです。

パートナー様によっては営業担当者が数千人規模で存在します。Boxパートナー全体で見ると合計で数万人に達し、パートナー営業だけで一つのマーケットが成立している状態です。

この「数万人の営業にどうリーチするか」を設計するのが、Toパートナーのマーケティングになります。

ーなぜパートナーマーケティングが重要なのでしょうか?

まず1つ目に、前述のインセンティブプログラムを前提としつつ、会社ごとに、今必要となる施策を、パートナーマーケティングという形で行い、私たちも本気で協力する姿勢でパートナーシップに取り組むことで、共にビジネスを伸ばす気持ちを育むことを意識しています。

2つ目は、実際にリードが出てお客様から反応があると、そのパートナー様の営業が動き出すきっかけになるので、パートナーマーケティングはこの着火のためにも有効です。

マーケティング活動だけで全部のリードを作るわけではないですが、そのリードをきっかけにお客様との案件創出の成功事例を実際に体験いただくことで着火する。そういう考え方です。

ーありがとうございます。3つのパートナーの中でWithパートナーという形態について、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

実際に取り組んでいて実感していることですが、製品に特化したマーケティング担当の方がいるパートナー様は非常にまれです。コーポレートマーケティングで全社イベントを企画する方はいても、個別製品のマーケティングは「営業からマーケティング部門に異動になった」という方が多く、着任当初はマーケティングの企画の経験があまりない方が多いというのが実情です。

一方、個別製品のマーケティングに関しては、弊社には10年、20年経験のあるマーケティング専門の担当が在籍しており、より良い施策に出来る知見があります。弊社の知見も活かして企画を一緒にやりますよ、というのがWithパートナーです。

弊社の強みを活かしながら、パートナー様と一緒にマーケティング施策を実行していく。これが「Withパートナー」の概要です。パートナー様にとっても弊社にとっても成果につながる、Win-Winの関係をつくる上で重要なポイントだと考えています。

パートナーマーケティングの組織設計


ーパートナーマーケティングは、どのような組織体制で運営されているのでしょうか。

パートナーマーケティング担当者は、パートナー営業ではなくマーケティングチームの中にいます。これはグローバルと共通の構造ですが、私も正解だと思っています。

理由は2つあり、1つ目は、スキルトランスファーやナレッジトランスファーが同じチーム内で起きるということ。2つ目は、ターゲット市場は同じで、アプローチの仕方が違うだけなので、グランドデザインをマーケティングリーダーが描く方がやりやすいという点です。ただ、組織を分けると必ず溝ができるので、営業とマーケがどうやって連携するかというところは重要です。

ー実際に、どのように連携されているのでしょうか?

パートナーマーケティングの予算をどう使って、どのイベントで何をするかというのは、全部パートナー営業と一緒にプランを作っています。理由は、パートナーマーケティングの実行においては、対象パートナーの選定や、活動後のフォローアップ環境整備まで設計する必要があるからです。その点は、パートナーを一番よく知る営業が入ることで活動の精度をより上げることができます。プランニングからエグゼキューション(実行)までシームレスに進めるのが重要です。

今後の展望ーSMB市場への挑戦


ー今後の展望についてお聞かせいただけますでしょうか?

Boxは現在、日本での売上はグローバル全体の23%を占めるまでになりました。10年前とはやらなければいけないことが変わってきているため、パートナービジネスにおける課題も変化しています。

現在、大きく分けて3つの課題があります。

1つ目は、エンタープライズから、SMB(中小企業)の市場にさらに広げていくことです。Boxとしてチャネルパートナーエンゲージメントに関してまだ多くの余地が残っている分野の一つです。SMB市場に適したメッセージングやアセットの準備などに取り組んでいます。これをさらに充実させていくことが、1つ目の課題です。

2つ目は、SMBに広げるということと繋がっていますが、やはりパートナーマーケティングとの連携がより必要になると思っています。パートナー営業が「Boxいいですよ、勉強会を受けてください」と言うだけだと、スケールに限界が出てきます。SMBの領域においては、ダイレクトマーケティングのみではなく、パートナーマーケティングをどうやるかという点がより重要になってくると思います。

3つ目は、製品の守備範囲が広がっている点です。情報管理基盤としての役割にとどまらず、情報活用基盤へと領域が拡張しており、AIを用いて情報を「活かす」方向に進化しています。この変化に伴い、プロダクトとパートナーのフィット(プロダクト・パートナー・フィット)も変わってきます。製品特性が変われば、当然フィットするパートナー様の特性も変わるため、ここは次のフェーズで向き合うべき重要な課題だと考えています。

パートナービジネスに取り組んでいる企業に向けたメッセージ


ー最後に、これからパートナービジネスを始める企業や、今取り組んでいる企業に対して、アドバイスをいただけますでしょうか?

パートナー様のことをよく知ることーこれに尽きると思います。

パートナー様は、Boxだけを売っているわけではなく、非常に多くの製品をお持ちです。その中で、Boxを売ることに対してモチベートされないとなかなか売っていただけません。パートナー様に「売っていただけない」と感じるとき、その多くは、なぜBoxをご提案いただけないのかを私たち自身が理解できていないことが原因だと思っています。その点を正しく認識すれば、インセンティブ設計もしやすくなります。「このパートナー様が動いてくれない、売っていただけない」と悩む前に、もっともっとパートナー様のことを知るということが大事だと思います。

ー具体的には、何を知ればいいのでしょうか?

ポイントは2つあります。会社としてのモチベーションと、個人としてのモチベーションです。

まず会社の観点では、戦略や事業計画を理解することが重要です。今、会社として何を目指していて、どのようなKPIを置いているのか。部長・役員クラスが何を重視しているのか。そこが見えると、こちらの提案も自然と「刺さる提案」になり、フィット感が出てきます。売上だけで押し切るのではなく、相手企業を深く理解することが前提です。

次に個人の観点では、モチベーションの源泉は会社によって大きく異なります。売上インセンティブが強い会社もあれば、定性的な評価が重要な会社もあります。あるいは、資格取得が昇格や査定に直結するケースもあります。「この担当者の方は、何があると気持ちよく動けるのか」「何があるとやる気が上がるのか」をきちんと把握することが大切です。

ーなるほど。ありがとうございます。

パートナービジネスは、Win-Winでないと長く良い関係にならないと思っています。パートナービジネスに取り組んでいるベンダー企業が売上というメリットを受けるためには、相手にもメリットを持ってもらわないといけない。独りよがりのメリットとならないよう、パートナー様が何を求めているかを理解して、相手のメリットになっているかどうかを見極めることが、結果としてベンダー企業のリターンにつながるものだと思います。

ー本日はありがとうございました。


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