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昨今、事業拡大の主要な戦略として注目を浴びているパートナービジネス。
こうしたパートナービジネスをよりうまくより大きな成果を上げるための手法として、国内外で主流となっているPRM(Partner Relationship Management:パートナーリレーションシップマネジメント)をご存じでしょうか?
PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)とは、メーカーやベンダーが、自社の商材を扱っていただく代理店と長期的に良好な関係性を築くため代理店を支援していく手法のことです。具体的には、パートナーポータルやコンテンツを整えてパートナーの営業力を高める、パートナーとの共同リード管理をすることで案件の進行をサポートするといった取り組みを指します。
ここでは、PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)という考え方と、その効率化を実現するツールについて解説していきます。
PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)とは

PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)とは、その名の通り、メーカーやベンダーなどの企業と、そのサービスを代理店販売する販売代理店などのパートナー企業との間で、情報や支援の連携基盤を作り、両者の連携をスムーズにする手法です。具体的には代理店の営業活動を支援するためのパートナーイネーブルメント(育成活動)や、
共同CRMによる案件情報・営業活動の見える化と細かな支援を行うことで、代理店がより売りやすい仕組みを作っていきます。
PRMの概要
PRM(Partner Relationship Management)とは、一般的には二つの主要な要素で構成されています。
一つ目は戦略で、これは企業が自社のパートナーネットワークを最大限に活用するための長期的な計画です。パートナーとの関係をどのように築くか、何を提供するか、どのように支援するかなどの要素がポイントとなります。
二つ目はテクノロジーで、これはPRMツールとして、ソフトウェアが活用されています。
PRMツールは、パートナーとのコミュニケーションを管理し、リードを追跡し、取引を記録し、パフォーマンスを測定するための重要なツールです。
このソフトウェアは、企業がパートナーとのリレーションシップを有効に管理し、そのパフォーマンスを最適化するのに役立ちます。
またPRMは、ビジネスパートナーシップが成功に繋がり、お互いの価値を最大化するのに効果的です。
パートナー企業同士が、相互利益のある関係を構築し、パートナーが企業の製品やサービスを最適に販売・配布できるように支援します。PRMが効果的に実施されると、企業はパートナーシップの価値を最大化し、成長を加速させることができます。
海外におけるPRM(パートナーリレーションシップマネジメント)
日本国内では、まだあまり知られていないPRM(パートナーリレーションシップマネジメント)ですが、国外では非常に浸透しています。
例えば、PRMの市場規模を見ると、2020年に548.2億米ドルと言われ、2021年から2028年にかけて16.2%のCAGR(年平均成長率)で拡大すると予想されています。欧米を中心に数多くのベンダーがしのぎを削っており、PRMという市場自体が確立しているのが海外の状況です。
それはつまり、海外のベンダーやメーカーは、代理店を支援する仕組みに対してしっかりと投資していることを意味します。
国内のベンダー・メーカーも、こうした代理店支援の仕組みを行っていかないと、いずれパートナービジネスの成長が止まってしまう瞬間が訪れます。それを防ぐためにも、PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)を進めることが求められています。

PRMとCRMの違いと役割

PRMは顧客関係管理であるCRMに似たアプローチですが、管理対象が「顧客」ではなく「パートナー企業」である点で大きく異なります。例えばCRMがエンドユーザーとの一対一の関係性を管理しLTV最大化を図るのに対し、PRMは「メーカー・ベンダー」と「代理店・販売パートナー」との複層的な関係性を管理し、チャネル全体で売上貢献を最大化することを目的とします。つまりCRMが「直接販売」における顧客単位の最適化なら、PRMは「間接販売」におけるパートナー組織単位の最適化を担う補完的な仕組みです。
もう一つのポイントは、PRMが戦略とテクノロジーの両面を持つことです。企業がパートナーネットワークを最大限活用するための長期的な計画(戦略)と、その実行を支えるPRMツール(専用のソフトウェア)から成り立っています。PRMツールは、パートナーとのコミュニケーションや案件管理、パートナーの育成、重要な支援システムであり、企業が複数のパートナーとの関係性を効率よく管理しその成果を最適化するのに役立ちます。適切にPRMを導入・運用すれば、パートナービジネスの価値を最大化し自社の成長を加速させることが可能になります。

PRM×”パートナーマーケティング”でパートナービジネスを加速させる
現代の市場環境では、直接販売だけでビジネスを拡大することが難しくなり、間接販売チャネル(パートナー経由)の活用が事業拡大のカギを握るようになっています。実際、世界のB2B商材の70%以上は販売代理店などパートナー経由で販売されているとも言われます。
2025年の調査でも、日本のIT企業においては売上の7割以上を直販で稼いでいる企業が過半数となっています。

このようにパートナーによる販路拡大が不可欠な一方で、パートナービジネス、間接販売には以下のような問題が生じます。
- 情報共有の不足・属人化:同じマーケティング施策を実施しても成果が出るパートナーと出ないパートナーがあり、担当者ごとに支援方法が異なるため管理が属人的になりがちです。結果、どの代理店にどのような支援をすれば売上が最大化できるのか見えにくい状況が生まれます。
- パートナー活動の可視性が不足している:案件の進捗や各パートナーの取り組み状況が把握しづらく、適切なフォローや支援のタイミングを逃してしまうことがあります。どのパートナーが優先的に支援すべき存在か判断する材料が不足しがちです。
- パートナーの育成の可視性が不足している:パートナー育成の可視性が不足しており、担当者ごとに誰が「提案できる状態」かが把握できていない。商材理解や営業スキルの有無が不明で、今すぐ提案可能な人数も特定できない。
- インセンティブ設計や成果管理の困難:パートナーごとに契約条件や報奨体系が異なる場合、手作業では正確な管理が難しく、どのパートナーがどれだけ貢献しているかを公平に評価・報酬反映することが複雑になりがちです。
こうした課題を解決しパートナーとの協働によるマーケティング効果を最大化するために登場したのがPRMです。グローバル化によりビジネス展開が国境を越え、さらにデジタル化で情報伝達スピードが上がる一方、パートナーとの連携はますます重要かつ複雑になりました。その変化に対応するため、多くの企業がパートナーとの関係性を効果的に管理する方法を模索し、PRMの重要性が急速に高まっています。実際、欧米ではPRMが「チャネル戦略の必須インフラ」として定着しており、ソフトウェアやSaaS、消費財業界を中心に成果を上げています。日本国内でもDX推進や間接販売モデルの多様化、属人化に伴い、近年PRM導入の検討が急速に広がり始めています。言い換えれば、パートナーマーケティングを効果的に推進するうえでPRMは欠かせない土台となっています。
PRMツールとは?

PRM(Partner Relationship Management)ツールは、企業とビジネスパートナーの関係を効果的にし、パートナーとの売り上げを最大化します。
PRMツールを導入することで、先ほどの課題である、情報共有の不足、パートナーの活動状況・育成の可視性の不足、インセンティブ設計の困難を一元管理し、可視化することができます。
さらに、PRMはパートナー間の信頼構築にも寄与します。情報の透明化により相互理解が深まり、各パートナーの強みや貢献を可視化して適切に評価できるようになります。これにより、より強固で継続的な関係構築が可能です。
加えて、PRMは戦略的なパートナー管理にも有効です。企業が求めるスキルやリソースを持つパートナーを見つけ、最適にマネジメントすることで、よりスピーディかつ効果的に市場展開を実現できます。
PRMツールの主要機能を紹介!
PRMツールには、パートナーとの協業を円滑にし成果を高めるための様々な機能が統合されています。特に重要な主な機能は次のとおりです。
情報共有・コンテンツ管理
パートナー向けの販促資料や製品カタログ、価格表、営業マニュアル、キャンペーン情報、トレーニング動画などを一元管理し提供する機能です。最新の資料やナレッジをリアルタイムで共有できるため、全パートナーで情報格差なく一貫したマーケティング活動が可能になります。必要に応じてパートナーの種類や権限に合わせ、適切なコンテンツだけを配信することもできます。
リード/案件共有管理
パートナーから案件登録を受け付けることができる、リード・商談管理機能です。重複したアプローチや案件の取り合いを防ぎ、パイプライン状況を双方で透明化できます。パートナーの稼働状況が見えないことや電話やメールで活動状況を逐一チェックするということが、PRMツール上で管理できます。これによりパートナー経由の商談進捗を可視化し、適切なフォローアップを行うことでチャネル全体の成約率向上につながります。
インセンティブ・報酬管理
販売実績に応じたリベート(手数料)やボーナス、販売キャンペーンの報奨金、さらにはトレーニング受講ポイントなどを一元的に計算・管理する機能です。各パートナーへの支払い額を自動計算し、承認フローも統合できます。報奨制度をシステム化することでパートナーへのインセンティブ支払いを公平かつ効率的に運用でき、パートナーのモチベーション向上とエンゲージメント強化に直結します。また、2025年の最新版ではこのインセンティブ設計とランク制度を組み合わせてパートナープログラムを設計している企業が増えています。
キャンペーン管理・共同マーケティング支援
メーカー・ベンダーとパートナーが協働でマーケティング施策を実行する際のキャンペーン計画・実施を支援する機能です。例えば、市場開拓費用(MDF: Market Development Fund)の申請・承認管理ができます。これにより複数パートナーとのマーケティング施策を効率的に展開し、その成果を追跡することが可能です。
トレーニング管理
パートナー企業の営業担当者向けにオンライン研修(eラーニング)やウェビナー、試験・認定プログラムを提供・管理する機能です。各担当者の研修受講履歴や認定試験の合否・スコアを記録し、パートナーごとの知識レベルや専門認定状況を可視化します。これによってパートナー全体で一定の製品知識・販売スキル水準を維持でき、結果的にチャネル全体の販売力底上げにつながります。
パフォーマンス分析・レポート
パートナーの営業担当者ごとに売上実績、案件創出数、成約率、トレーニング受講率など、パートナー施策と成果に関するデータを収集・可視化する分析機能です。どの施策が売上につながっているか、成功しているパートナーの共通点は何か、といった洞察を得ることができます。データドリブンな分析により、効果的な支援策を再現性高く設計し、直販・間販を含めた総合的な戦略を最適化できます。
以上のように、PRMツールには「コンテンツ管理」「案件管理」「インセンティブ管理」「トレーニング管理」「キャンペーン支援」「分析レポート」など多岐にわたる機能が含まれています。これらを一元化したプラットフォームとして活用することで、企業は「どのパートナーに何を支援し、どんな成果が出たか」をデータで検証しながら、再現性のあるチャネル施策を展開できるようになります。また、このような機能を活かしてパートナープログラムを整備し、成果を出している企業も増えてきています。従来ばらばらに行われ属人的になりがちだったパートナー管理を体系立て、パートナーエコシステム全体の生産性と売上貢献度を向上させる基盤となるためにPRMツールは必要不可欠と言えます。
PRMツールを導入するメリットとは?

PRMツールの導入によるメリットは非常に多岐にわたります。特に売上データやマーケティングデータを分析し、経営方針を判断するのに非常に有用です。PRMは、企業とパートナー企業との連携を深化し、共同でビジネスを展開していくためには欠かせないツールと言えるでしょう。
以下に、その具体的なメリットを詳しく解説します。
効率的なパートナー管理
パートナーとの関係管理は、以前の手作業や複数のシステムに依存する方法では時間も手間もかかり、統一的な管理が難しいものでした。PRMツールの導入により、これらの課題は一気に解消します。
- 一元管理の実現:パートナーの情報、契約内容、販売実績などを一元管理することで、必要なデータに素早くアクセスできます。業務のスピードが向上し、迅速な意思決定が可能になります。
- トレーニングの効率化:PRMツールを用いれば、パートナーへのトレーニングや情報共有も一元化できるため、コスト削減と教育の質の向上が期待できます。
- インセンティブの最適化:パートナーの販売実績や貢献度に応じて、インセンティブを柔軟に設定することが可能です。これにより、パートナーのモチベーション向上と、より効果的な業務運営が実現します。
データ駆動の意思決定が可能
前述したように、データ駆動の意思決定は、現代ビジネスの必須の要素となっております。PRMツールを活用することで、パートナービジネスでもデータを重視した意思決定が可能となります。
- リアルタイム分析:パートナーの売上やアクティビティをリアルタイムで分析し、トレンドや問題点を迅速に把握することができます。
- 予測分析の活用:AIや機械学習の技術を組み込んだPRMツールならば、未来の売上や需要の予測が可能となります。これにより、戦略の立案がより精緻に行えます。
- ROIの最適化:各パートナーとの取引の投資対効果(ROI)を計測し、最適化することができるため、コスト効率の良いパートナーシップの構築が可能になります。
例えば、freeeのパートナービジネス本部では、パートナービジネスのKPIを5つに分解の上、リアルタイムで課題の分析を行い、個人単位のフォロー活動を行っています。
▼freeeのパートナービジネス本部におけるKPIモニタリングのノウハウはこちら
カスタマイズ可能なマーケティング支援
PRMツールの導入により、パートナーごとに異なるマーケティング支援が容易になります。
- パーソナライズされたコンテンツ提供:各パートナーのターゲット市場に応じた、カスタマイズされたマーケティング資料の提供が可能になります。
- プロモーションの最適化:パートナーの販売実績や顧客の反応に基づいて、プロモーションの戦略を最適化することができます。
- 共同マーケティングの強化:PRMツールを通じて、企業とパートナーとの共同マーケティングの企画や実施がスムーズに進行します。これにより、市場へのアプローチが一層強化されます。
PRMツール導入事例
日本国内PRMツールであるPartnerPropの導入事例から、業界別に注目すべき成功例を3つ紹介します。各社がどのような課題に直面し、PRM導入によってどんな成果を上げたのかを見てみましょう。
SaaS業界:freee(フリー株式会社)
クラウド会計ソフト大手のfreeeは、会計事務所向けのパートナープログラムを長年運営してきましたが、「パートナーの活動状況が見えない」という課題を抱えていました。一部の有力パートナーとは密にコミュニケーションを取っていたものの、全体として誰がどの案件を動かしているか個人単位で把握できず、支援の優先度付けも困難だったのです。そこでPartnerPropを導入し、データドリブンでパートナー個人を管理・支援する体制に転換しました。具体的には、各会計事務所内の担当者ごとにKPIをモニタリングし、活動量に応じて手厚いサポートを提供する仕組みを構築しました。その結果、実質パートナー担当2人の少数体制にも関わらず、2ヶ月で1,500件超のパートナー経由商談を創出する快挙を達成しています。従来は直販では難しかったような数の案件を間接チャネルで獲得でき、パートナーセールスの可能性を実証したケースです。freeeではこの成功により、今後さらにパートナービジネス拡大に向けて認定アドバイザー制度の強化やテックタッチ支援の推進に取り組んでいます。
製造・インフラ業界:Looop(株式会社Looop)
再生エネルギー関連サービスを展開するLooopは、全国に広がる販売パートナー網を持ちながら、その管理工数の増大とデータ活用の課題に直面していました。700社以上に及ぶ代理店からの案件情報や問い合わせ対応を個別に行っていたため、リソースが逼迫し、肝心のパートナー支援策に十分時間を割けない状況だったのです。そこでPartnerPropを導入し、パートナー企業とのやり取りや案件情報を一元管理する体制に刷新しました。案件登録や進捗は全てPRM上でリアルタイム共有され、定例ミーティングでもPartnerPropの画面を見ながら具体的な議論ができるようになりました。これにより各代理店へのサポート効率が上がり、本来注力すべき有望パートナー企業へのビジネス支援にリソースを集中できるようになりました。さらに全社的にデータドリブンなパートナー戦略を描けるようになり、属人的だった代理店管理から脱却して持続的成長可能な関係構築へと進化しています。Looopの事例は、従来アナログ管理が中心だった製造業界においても、PRM導入による効率化と戦略的チャネル運営が実現できることを示す好例と言えるでしょう。
人材業界:レバレジーズ株式会社
人材紹介・HRサービス大手のレバレジーズは、元々直販中心でビジネスを展開してきましたが、新たにパートナービジネス(代理店チャネル)を立ち上げる挑戦に臨みました。社内に十分なチャネル構築の知見がない中でのスタートでしたが、PartnerProp導入により伴走型のサポートを受けながら計画を推進しました。PartnerPropチームのCS(カスタマーサクセス)担当と二人三脚で施策を進めた結果、未経験からわずか1.5ヶ月でパートナービジネスを立ち上げ、最初の成果を創出することに成功しています。具体的には、代理店向けの営業資料共有や研修をオンラインポータルで迅速に展開し、初期段階から複数の代理店で受注が発生する状態を作り出しました。また各代理店とのコミュニケーション量・質を高めることで、案件創出数が月次で600%増加するといった顕著な成果も得られています。この事例は、パートナー戦略のノウハウがない企業でも、適切なツールと支援があれば短期間でチャネルビジネスを立ち上げられることを示しています。レバレジーズでは今後も伴走支援を受けつつ、直販とチャネルの両輪で事業拡大を図る方針です。
▼PatrnerPropの導入事例をもっと学ぶ
https://partner-prop.com/casestudy/
まとめ:PRMがもたらす価値と今後の展望
PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)は、企業とパートナーが協働で成長するための基盤となるソリューションです。PRMツール導入により、リード共有、コンテンツ提供、トレーニング、インセンティブ、分析など多彩な機能を活用することで、企業はパートナーとの関係性を強化しつつチャネル施策の効果を「見える化」して再現性のある成功パターンを築くことができます。特にSaaSビジネスの拡大やチャネル戦略の高度化が進む現在、PRMツールへの投資は単なる間接販売管理ではなく企業成長の戦略的投資と言えるでしょう。適切なPRMツールの導入と運用によって、企業とパートナーは互いの成功を支え合い、持続的な成長を実現できます。つまりPRMツールは、パートナーエコシステムの力を最大限に引き出し競争力あるビジネスを展開していくための不可欠なツールとして、2025年以降ますます存在感を高めていくでしょう。
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