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【代理店ビジネス成功の手引き】事例をもとに注意点や秘訣を網羅的に解説

  • 2024年7月30日
  • 2024年7月30日
  • 代理店
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代理店ビジネスは、自社商品の販路を効率的に活用する手段として、最近SaaS企業などを中心にますます注目を集めています。そのため、自社にもこれから取り入れていきたいと考えている方も多いでしょう。

この記事では、代理店の成功事例やよくある失敗をもとに、代理店ビジネスを成功に導くためのポイントを網羅的に解説しています。

目次

代理店ビジネスとは

代理店ビジネスとは、販売代理店とパートナー契約を結び、自社商品の販売や紹介を代行してもらうことで販路を拡大することを目指す事業です。

代理店ビジネスを取り入れることで、直販だけではなかなかアクセスできない顧客にもリーチできたり、新たな市場に低コストで参入できたりと、様々なメリットがあることから、近年ますます注目されています。

代理店の種類

一口に代理店と言っても、複数の種類があります。特にSaaS企業の代理店でよくある代理店の形態は、再販代理店と取次代理店の2つです。再販代理店とは、おそらく多くの人がイメージする形態で、代理店が商品の説明から契約・販売までの全ての販売業務を代行するものです。

それに対し、取次代理店では顧客に対する商品の説明や紹介のみを行い、商品に興味を持った顧客を自社に取次ぎます。自社の目的や商品の特徴に合った形態を選ぶことが大切です。

代理店の種類について、詳しくはこちらの記事で解説しています!↓

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代理店ビジネスが盛んな業界

代理店ビジネスが特に盛んな業界には、次の3つがあります。代理店ビジネスについて、あまりイメージが湧かない方は、これらの業界の代理店を思い浮かべるとピンとくるかもしれません。

  1. SaaS企業
  2. 保険会社
  3. 携帯・通信会社

①SaaS企業

上でも書いた通り、近年はSaaS企業における代理店ビジネスが非常に盛んになってきています。日本のSaaS企業における代理店ビジネスは、ベンダーであるSaaS企業側がパートナープログラムを策定し、代理店側が立候補する形で契約を結ぶ形態が主流です。このような形態では、多くの代理店を効率的に獲得できるため、販路を大きく拡大することができます。

②保険会社

保険の仲介店は多くの方が目にしたことがあると思います。顧客として保険を契約する時も、自分で保険会社を選んで直接契約するよりも、仲介店で様々な会社の保険を比較して、アドバイスをもらう人の方が多いのではないでしょうか。実は、保険はほとんどが代理店を介して販売されています。保険を選ぶには知識が必要になることから、仲介店の役割が大きいのです。

③携帯会社

携帯電話の代理店も、多くの方が利用した経験があるのではないでしょうか。様々な会社の商品を扱う代理店では、実際に端末を操作しながら比較することができるため、どの会社の製品を買うか迷っている場合は、直売店より便利なのです。

代理店ビジネスの成功事例

それでは、ここからは近年盛んになってきているSaaS企業における代理店ビジネスの成功事例を見ていきましょう。紹介する企業は次の5つです。

  1. 株式会社インフォマート
  2. 弁護士ドットコム株式会社
  3. freee株式会社
  4. 株式会社うるる
  5. 株式会社SATORI

事例①株式会社インフォマート

提供:https://www.infomart-partners.jp/partner/

業務効率化のためのBtoBプラットフォームを提供している株式会社マネーフォワードは、代理店が自分の製品とマネーフォワードの商品をセットで販売できるプログラムを提供しています。自社だけでなくパートナー企業の商品の販路拡大にも協力しているのです。

また、インフォマートの商品と相性の良い商品を持つパートナー企業であれば、セット販売によってお互いの商品の価値が高まる相乗効果も期待できます。

事例②弁護士ドットコム株式会社

提供:https://www.bengo4.com/corporate/news/article/zejn5n7i-f

クラウド型の電子契約サービス「クラウドサイン」などを提供している弁護士ドットコム株式会社は、契約したパートナーに対するサポート体制を充実させています。

研修動画の提供などのパートナーの教育をはじめとし、販売促進資料の提供や商談、マーケティング活動の支援など、パートナーが商品をスムーズに販売できるような工夫を整えることで、合計250万社を超える企業に自社ツールを導入することに成功しています。

事例③freee株式会社

提供:https://www.freee.co.jp/partner/

クラウド会計サービス「freee」などの開発・提供を行うfreee株式会社も、パートナー企業に手厚いサポートを提供することで成功を収めています。具体的には、定期的な勉強会や定例会の実施、freeeの新機能などを学べるコンテンツの共有、営業同行などがあり、契約したパートナーが顧客に対し効果的に営業を行えるような体制が整っていると言えるでしょう。

事例④株式会社うるる

クラウドソーシングプラットフォーム「シュフティ」などを運営する株式会社うるるは、パートナーの成果や加盟金に応じて、ランク認定制度を設けています。ランクが上がると報酬が大きくなるため、パートナー企業のモチベーションを高く保ち、多くの加盟金を支払ってくれるパートナーに対し適切な見返りを提供することができます。

公式サイト:https://www.uluru.biz/

事例⑤株式会社SATORI

提供:https://satori.marketing/partner-program/

マーケティングオートメーションツール「SATORI」の開発・販売を行う株式会社SATORIは、パートナーの販売を様々な方法で促進することで、自社ツールの拡販に成功しています。

営業代行やウェビナーなどの手厚い教育制度に加え、営業資料やマーケティング施策の情報共有など、営業に関することを全てパートナー企業に任せるのではなく、自社からも様々な形で営業を改善しようとしています。また、販売成績が優秀なパートナーの表彰など、自社商品を積極的に販売してもらうための工夫をしているのも特徴です。

代理店ビジネスでよくある失敗と原因

ここまで、代理店ビジネスの成功事例をいくつか見てきましたが、成功のポイントを探るために、失敗の例とその原因も見てみましょう。代理店ビジネスでよくある失敗として次の5つが挙げられます。

  1. 代理店ビジネスから求めていた利益が得られない
  2. 契約条件や報酬に関するトラブルが発生する
  3. パートナーが自社商品を売ってくれない
  4. パートナーが成果を上げられない
  5. 最初に比べて成果が下がってきた

①代理店ビジネスから求めていた利益が得られない

販路拡大や新たな市場への進出を狙って代理店ビジネスを始めても、求めていたような成果や利益が得られない場合があります。この失敗の原因としては、代理店ビジネスの目的を達成するための適切なパートナーを選定できていないことが挙げられます。

パートナーを選ぶ前に、自社や商品と相性が良い企業はどのような企業か、目的を達成するためにはどのような条件が求められるのかを明確化しておくと良いでしょう。

②契約条件や報酬に関するトラブルが発生する

代理店ビジネスでは、パートナー企業と様々な業務を共同で行ったり、機密情報を共有したり、金銭のやりとりを行ったりすることになります。この際、契約条件が不適切なものであったり、不明確な点があったりすると、契約関係の継続が危うくなる可能性がある他、現場の社員が契約条件を正しく理解できていないことが原因で、無意識に契約を違反してしまう可能性もあります。

パートナー企業とのトラブルは、契約の解消に繋がるだけでなく、顧客や他の企業からの評判が下がる原因にもなってしまうかもしれません。契約条件は双方が納得できる形で、不備などがないように定めることはもちろん、現場で働く社員にも正しく共有することが大切です。

③パートナーが自社商品を売ってくれない

代理店は、自社商品だけでなく、競合他社の製品の販売も行っている場合があります。この場合、代理店の担当者が「他社商品より自社の商品を販売した方が良い」と思わなければ、代理店は自社商品をあまり積極的に販売してくれないかもしれません。

他社の類似の商品の中でも、特に自社商品の販売に力を入れてもらうためには、自社商品を販売すると他社の商品を販売する場合より大きな利益を得られるなど、代理店にメリットを提供したり、自社商品ならではの長所や特徴を分かりやすく提示したりする工夫が必要です。

④パートナーが成果を上げられない

自社と相性が良く、自社製品を積極的に販売しようとしてくれている代理店であっても、販売実績が伴わなければ自社も利益が得られません。前提として営業のノウハウや自社商品に関する知識がなければ効果的な営業を行うことはできないため、契約を結んで販売を開始する前に、セミナー・勉強会・学習ツールなどを通して、十分な教育を行いましょう。

教育が十分なのに、特定の代理店だけが成果を上げられない場合は、その原因を分析し、必要なサポートやコンサルティングを行うことも大切です。

⑤最初に比べて成果が下がってきた

契約をしてしばらくは成果を上げてくれていた代理店でも、しばらくすると成績が下がってくる場合もあります。代理店ビジネスでは、最初は順調でも市場動向やお互いの状況の変化によって上手くいかなくなってくる可能性があるのです。

成果が下がってきたと思ったら、その原因を正しく分析することが大切です。よくある原因とその対策の例を挙げると以下のようなものがあります。

  • 市場動向が変化した→自社製品の改良や戦略の変更
  • 代理店のモチベーションが下がった→報酬を見直す

代理店ビジネスで成功するには

ここまでの成功事例や失敗例から、代理店ビジネスで成功するためにはどのようなことに気をつければいいのかをまとめました。次の3つのフェーズに分けて説明していきます。

  1. パートナーの選定
  2. パートナー企業との関係構築・教育
  3. 関係の維持・持続的な成功

フェーズ①パートナーの選定

代理店ビジネスで成功するためには、自社と相性が良く、目的達成に必要な長所や特徴を持つパートナー企業を選ぶことが大切です。そのためには、次の3つのポイントに注意しましょう。

  1. 自社の特徴の分析
  2. 代理店ビジネスの目的の明確化
  3. パートナーに求める条件の明確化

ポイント1.1 自社の特徴の分析

自社と相性の良いパートナー企業の条件を知るためには、まず自社の特徴や拡販したい商品をよく理解することが大切です。次のポイントで自社のことを分析してみると良いでしょう。

  • 自社の長所
  • 自社の課題・弱点
  • 拡販したい商品の長所・特徴・他社商品との違い
  • 拡販したい商品の課題・弱点

ポイント1.2 代理店ビジネスの目的の明確化

自社や商品の分析から、特徴やどのような課題を抱えているのかを確認したら、代理店ビジネスの目的を定めましょう。例えば、商品の知名度が低いことが課題であれば、知名度を上げることが代理店ビジネスの目的となり得ます。目的を明確にすることで、パートナー企業に必要な条件も見えてくるでしょう。

ポイント1.3 パートナーに求める条件の明確化

最後に、自社と相性が良く、代理店ビジネスの目的を達成できるようなパートナーの条件を明確化しましょう。パートナー企業に求められるような条件は、次のように考えるのがおすすめです。

  • 自社の弱点を長所とする
    →自社の課題や弱点を克服できる
  • 代理店ビジネスの目的達成に必要なリソースやノウハウがある
    →代理店ビジネスの目的をスムーズに達成できる
  • 自社商品とパートナー企業の商品の相性が良い
    →セット販売や商品の連携によって、顧客に提供できる価値を高められる
  • 自社の長所によってパートナー企業の弱点をカバーできる
    →パートナー企業にもメリットを感じてもらいやすい

フェーズ②パートナー企業との関係構築・教育

条件を満たしたパートナーを選定したら、そのパートナー企業に最大限能力を発揮してもらえるよう、良好な関係を構築し、十分なサポートを提供しましょう。ポイントは次の3つです。

  1. 契約条件や報酬体系のすり合わせ・明確化
  2. パートナー企業の教育・サポート
  3. 目標の設定・共有

ポイント2.1 契約条件や報酬体系のすり合わせ・明確化

代理店ビジネスでよくある失敗として、契約条件や報酬に関するトラブルを挙げました。このようなトラブルを防止するには、まずは契約締結までに十分な打ち合わせを行い、お互いが納得できるような条件を模索しましょう。契約書は不備がないよう、専門家の意見も取り入れながら作成するのがおすすめです。契約を締結したら、現場で働く社員にも正しく共有し、契約違反を防止することが大切です。

ポイント2.2 パートナー企業の教育・サポート

代理店ビジネスで成果を上げているSaaS企業は、多くの場合パートナー企業に対する教育やサポートが充実しています。現場で働く社員一人一人に必要な営業スキルや知識を身につけてもらえるように工夫しましょう。対象となる社員や、パートナー企業が多い場合は、Webセミナーやメルマガ、オンデマンド動画や教育ツールを利用して効率化すると良いでしょう。

ポイント2.3  目標の設定・共有

代理店の状況を正しく把握し、必要なサポートを提供するためには、目標を設定し、パートナー企業と共有することも大切です。目標設定の際は次のような点に注意しましょう。

  • 目標を細分化する:大きすぎてすぐに達成できない目標では、現状目指すべきものが見えにくい。
  • 目標は数値などで定める:進捗や達成/未達成の判断が人によって変わるような目標は避けるべき。
  • 現実的な目標を設定する:代理店の能力から見て達成が難しすぎる目標はモチベーションに繋がらない。
  • 改善に繋がる目標を設定する:達成が簡単すぎる目標では、改善点が見えにくい。

フェーズ③パートナー企業との関係の維持・持続的な成功

代理店ビジネスでは、契約直後だけでなく、長期的なサポートも大切です。代理店との良好な関係を保ち、持続的に利益を上げるために、次の3つのポイントに注意しましょう。

  1. 契約条件の定期的な見直し
  2. 目標達成状況の確認・サポート
  3. ランク制度・表彰制度

ポイント3.1 契約条件の定期的な見直し

市場や代理店の状況は時間を追うごとに変わります。最初は納得できる契約条件であっても、時間が経つと報酬が労力に見合わないと感じてしまうようになるなど、最適な契約条件は変化していくものです。良好な関係を保つためには、定期的に契約条件を見直す機会を設けると良いでしょう。

ポイント3.2 目標達成状況の確認・サポート

フェーズ2で目標設定について説明しましたが、目標は設定するだけでなく、振り返って改善に繋げることが大切です。代理店の目標達成状況を定期的に確認し、達成できていない場合は改善のために適切なサポートを提供しましょう。また、契約条件と同様に、目標を設定してから時間が経つと、代理店や市場の状況が代わり、適切な目標が変わってくる場合もあります。こちらも定期的に見直しや修正を行うことがおすすめです。

ポイント3.3 ランク制度・表彰制度

代理店ビジネスで利益を得るためには、代理店のモチベーションを高く保つことも大切です。SaaS企業の成功事例では、ランク制度や表彰制度を取り入れているところもありました。長期的に成果を上げることで、より大きなメリットを得られるような仕組みは、代理店ビジネスの持続的な成功につながると言えます。

まとめ

この記事では、代理店ビジネスの成功事例やよくある失敗から、代理店ビジネスを成功に導くポイントを3つのフェーズに分けて紹介してきました。代理店ビジネスの成功には、準備段階を含めて様々な工夫が必要になります。成功事例を参考にして、効果的な施策を取り入れてみてください。

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