世の中の多くの方が何かしらの保険に加入しているのではないでしょうか。
実は保険会社の多くは代理店を活用しており、実際に顧客が申し込む際は代理店経由の申込がほとんどです。
代理店というと、「しつこい勧誘」や「不正営業」などの印象を持っている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、そのような代理店は現代の情報社会では生き残るのが難しく、近年は顧客視点に立った代理店が増えてきています。
ここでは、保険代理店の仕組みや利用するメリットを解説していきます。
またそもそもの代理店営業についてはこちらの記事で解説しています。
代理店営業は、多くの企業が利用する販売戦略の一つで、製造業者と消費者の間に立つ代理店を通じて製品やサービスを販売する方法です。この戦略には、市場の拡大、リソースの効率化、リスクの分散など多岐にわたるメリットがあります。本記事では、代理店営[…]
保険代理店とは
保険代理店とは、保険会社に代わり保険の各種サービスを行う事業者のことです。
多くの保険会社は保険の取り扱いを希望する企業や個人と代理店契約を行っています。
代理店となった事業は保険の契約以外にも、求償・保険の見直しなどのアフターフォローも行っています。
他の商品に例えると、自動車のディーラーが保険の代理店のシステムに近いです。
そのため、普段私たちが見かける保険の窓口の多くは直接保険会社が運営しているものではありません。
また、ネットで申し込みができるダイレクト型の保険とは以下の違いがあります。
ダイレクト型(通販型)との違い
知識 | アフターフォロー | 料金 | |
代理店型 | 専門のスタッフと相談できる | わからない事はスタッフに尋ねながら保険金の請求が行える | 高いことが多い |
ダイレクト型 | 基本的には自分で選ぶ必要がある | ネット上や書類の郵送でする必要がある | 安いことが多い |
保険代理店の仕組みについて
保険会社と代理店は代理店委託契約を結んでおり、代理店は保険会社に代わって保険の契約業務を行っています。
保険会社は消費者に対して契約にあたっての説明および契約手続き、求償の手続きなどを行いますが、直接消費者と契約を行っているわけではありません。
契約自体は消費者と保険会社間のものであり、保険料を受け取るのは保険会社です。
保険代理店は、締結された保険に応じた手数料を保険会社から受け取ります。
代理店の仕事
保険代理店の主な仕事は3つあります。
保険の販売だけというイメージかもしれませんが、アフターフォローや、ライフステージによって保険を見直す場合なども相談に乗ってもらうことができます。
保険の契約 | 消費者のニーズに合った商品の提案・契約 |
保険の見直し | 既契約者の現状に合った商品への切り替え |
保険の求償 | 事故・病気などに遭った消費者のサポート |
保険の契約
保険の代理店といえば販売契約の業務を行っているイメージがあるかと思います。
上記でも触れましたが、保険会社と消費者との契約となるため、代理店と消費者が直接契約をするわけではありません。
窓口を設置し、来店されたお客様を対象とするだけでなく、個人や法人あてに営業をかけて契約を行う事業者もあります。
保険代理店は保険会社から委託契約を結んでいるため、代理店と消費者だけで契約が可能です。
保険の見直し
消費者の現状に応じて保険の見直しを行います。
保険は一度締結すると内容が変わることはありません。
そのため、過去に加入した保険のままであれば一部の手術が保険の対象外であったり、税制改正によって有利不利が起きます。
また、結婚や出産などのタイミングで保険を見直す必要も出てくるでしょう。
しかし、専門的な知識がないとそういった取捨選択は難しいですよね。
保険代理店は、このようなライフステージに応じた保険の見直しを手伝ってくれます。
保険金請求の受け付け
実際に事故に遭った場合や、入院をした消費者からの保険金の請求を受け付けます。
保険金の請求はそう何度も経験することではないので、一人でしようとすると難しいです。
保険金請求の申込書類以外にも事故証明や入院証明。
そういった事務的に面倒な手続きをサポートしてくれます。
保険代理店のメリット・デメリット
保険代理店を利用することのメリットとデメリットです。
直接人と話をして契約をしたり、保険金請求ができるということは大きいですね。
ただその裏返しとして、人件費がかかっているためコスト的な部分はどうしても大きくなります。
保険代理店のメリット
保険代理店のメリットは主に3つです
1.専門のスタッフと相談してライフプランを考えることができる
保険の販売をしているスタッフはプロですし、FPの資格を持っている方も多いです。
そのため、性別や年齢だけでなく結婚・出産などの人生のイベントに備えた保険を相談しながら契約することができます。
保険は人生で2番目に高い買い物と言われており、いい加減な内容で契約すると掛け金を払うことができなくなってしまったり、保険金を貰えなくなってしまうことがあります。
そういったことが無いように専門のスタッフに相談しながら契約内容を考えられるのは魅力ですね。
2.保険の見直し時にも相談に乗ってもらうことができる
上記でも少し触れましたが、一度契約した内容は変わることがありません。
これはメリットにもなりますがデメリットにもなります。
例えば、税金控除に関しては昔の契約のほうが有利なことが多いですが、新しい契約にすると今まで保険金支払いの対象にならなかった手術が対象になることもあります。
現状を考えて保険の内容を組み替えたり、新しく発表された特約(オプションのようなもの)を知ることができるのがメリットです。
3.複数の保険を比べることができる
代理店によっては複数の会社と委任契約を結んでおり、いくつかの保険を比べて契約をすることができます。
複数の商材をもつ代理店の視点から、顧客に合わせたプランの提案が可能な為、個人に最適なプランの提案をもらう事ができます。
自分で調べて比較していたら時間も労力もかなりかかってしまいますよね。
その労力を負担してもらえるのはメリットでしょう。
4.アフターフォローを受けることができる
保険金の請求をサポートしてもらえたり、代理店によっては自動車事故を起こした際に事故現場まで駆けつけてくれることもあります。
実際に保険金の請求をした経験がある方はあまり多くないのではないでしょうか。
また、請求をしたとしても何回も請求したことがある方は少ないでしょう。
そんな時にサポートをしてくれる窓口となるのが保険代理店です。
保険代理店のデメリット
1.保険料が割高になる可能性がある
代理店を挟んでいる為マージンが発生し、ダイレクト型の保険と比べると割高になる傾向があります。
2.契約させたい保険を勧められる可能性がある
保険代理店側が販売したい商材を強めに提案されることがあります。
例えば、新しく出来た特約などが多いかもしれません。
代理店は契約手数料で収益を得ている以上、収益率のいい商材を販売したがります。
そのため、本当に消費者に必要なものを提案してもらえないケースもあるので、信頼できる代理店をきちんとリサーチし選定する必要があります。
3.営業スタッフのレベルに差がある
保険代理店のすべてのスタッフがFPの資格を持っているわけではありません。
当然、スタッフによって知識や提案スキルに差があります。
将来のことを見越して提案してもらえるスタッフに出会えなかった場合は損をする結果になってしまうかもしれません。
もし代理店スタッフの対応に不安があった場合、他の保険会社を回って話を聞いてみるのもいいかもしれませんね。
保険代理店の種類
保険代理店にも種類があります。
専業として取り組んでいる代理店もあれば副次的サービスとして行っている代理店もあります。
専業代理店と副業代理店
専業代理店とは保険代理店としての事業がメインの事業者で、副業代理店は副次的サービスとして保険サービスを取り扱う事業者のことです
専業代理店
専業代理店は保険の取り扱いがメインのため、副業代理店よりもより詳しいサービス内容を提供してもらう事ができます。
FPが所属していることも多い上に、取り扱っている商材も多岐にわたります。
長期契約となる生命保険や終身保険などは専業代理店を利用するのがいいでしょう。
副業代理店
副業代理店は保険を取り扱ってはいるもののメインの事業は別のことをしている事業者です。
例としては車のディーラーがあります。
車を買ったお店でそのまま保険契約ができるので手間がかからずに済むメリットがあります。
自賠責保険などはどこで加入しても料金は変わらないですし、自動車の任意保険に関しては生命保険のように長期で考える必要がありませんので、短期的な保険の加入には問題ないでしょう。
専属代理店と乗合代理店
専属代理店とは一つの保険会社と専属で委託契約をしている事業者であり、乗合代理店とは複数の保険会社と委託契約を行っている事業者です。
専属代理店
専属代理店のメリットは、保険の知識の深さです。
一つの保険契約に特化しているため、その保険会社の強みを使った契約を行うことができます。
また、その保険会社のキャンペーンなども把握しているため、加入したい保険会社が決まっている場合は頼りになるでしょう。
乗合代理店
乗合代理店のメリットは、取り扱っている保険の種類です。
昔は専属代理店が多かったですが、最近は乗合代理店も増えてきました。
複数の商材から選ぶことができるので、自分にあった保険を選ぶことができるのがメリットです。
保険代理店手数料の仕組み
ここからは、企業視点で保険会社の代理店の仕組みについて紹介していきます。保険代理店の受け取る手数料の仕組みです。
実際にはもっと複雑ですが、大きく分けて2種類に分かれます。
長期的な利益となるストック型、短期的に収益を出せるショット型(スポット型)の二つに分かれます。
また、どちらかだけというわけではなく、複合型のものもあります。
代理店の手数料についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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ストック型
保険代理店が受け取る手数料の多くがストック型と呼ばれる長期型の手数料です。
これは、消費者が支払った保険金の何割かが代理店の手数料となる仕組みです。
ストック型のメリット
ストック型の手数料のメリットは3つあります
1.安定した収益が見込める
契約した保険が解約されない限りは、数年間にわたって支払われた保険金の一部が手数料として支払われます。
そのため、安定した収益を得ることが可能です。
2.外的影響を受けにくい
景気や社会現象などの影響を受けづらいため、不況の中でもある程度は安定して経営を行えます。
ストック型のデメリット
ストック型のデメリットは2つあります
71.収益が安定するまでに時間がかかる
一件一件の手数料は多くないため、まとまった金額になるまでは時間がかかります。
2.アフターフォローの重要性
契約した保険が解約されてしまうとそれ以降の手数料はなくなってしまいます。
そのため、契約したら終わりではなく解約されないようにアフターフォローも重要になり、契約後も解約防止のためのサポートに工数を咲く必要があります。
ショット型・スポット型
ショット型・スポット型とは保険の契約を締結した際に一度だけ支払われる手数料です。
保険の代理店ではなく保険の営業マンのようなイメージの収益と言えばわかりやすいでしょうか。
ショット型・スポット型のメリット
ショット型・スポット型のメリットは2つあります
1.すぐに収益につながる
ショット型のメリットはすぐに収益につながりやすいということです。
支払われる手数料が一度だけのため、ストック型の手数料に比べて一度に入ってくる手数料が多くなります。
そのため、一時的に収益を伸ばしたい場合などには効果的です。
2.大きく売り上げを伸ばす可能性がある
単発で大きな収益になるため、契約数が増えれば増えるほど瞬間的な収益は大きくなります。
例えば、代理店を立ち上げたばかりでストック型では収益が少なくなってしまう際などは効果的でしょう。
ショット型・スポット型のデメリット
ショット型・スポット型のデメリットは2つあります
1.収益が安定しづらい
単発型のため、契約数が落ちればその分収益が下がってしまいます。
毎月安定して新規の契約を結ぶことができない限りは収益を安定させづらいでしょう
2.営業活動に力を注ぐ必要がある
安定して契約数を獲得するためには営業力が必要になります。
新規顧客の開拓や、リサーチが必要になるでしょう。
保険代理店事例
保険代理店の成功事例を紹介していきます
事例1-ファイナンシャルジャパン
保険業界は離職率が高いですが、その離職率を抑えることで成功した事例です。
チームを組んでマネジメントを行い社員のレベルアップを図った結果業績を伸ばしています。
ファイナンシャル・ジャパン 株式会社は、なぜ、創業5年で 年商20億社員数200名突破! できたのか? | 保険代理店 経営者.com|船井総研(船井総合研究所)
事例2-保険見直し本舗
お客様から別のお客様を紹介していただくということで成功した事例です。
知り合いからの紹介ということで、販売員の話を前向きに聞いてくれるお客様が増えたということです。
全国に291店舗(2021年9月現在)展開されている、保険見直し本舗マーケティング担当の藤澤 脩人氏に、クチコプレミアム…
事例3ー保険市場
LINEを活用した事例です。
定期的にお客様にアプローチができるため、保険のニーズがお客様に生まれたときに提案がしやすくなります。
保険市場がLINEを活用して相談予約数をアップさせたノウハウ公開―予約件数の10~20%がLINE経由に | Web担当者Forum