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パートナーセールス(パートナー営業)とは?メリットや成功事例についても紹介!

パートナーセールスは、多くの企業がビジネス拡大のために採用している販売方法です。しかし、パートナーセールスとは一体何なのでしょうか?この記事では、パートナーセールスの概要から、そのメリット・デメリット、さらには効果的な戦略の立て方まで詳しく解説していきます。

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代理店の仕組み

パートナーセールス(パートナー営業)とは

パートナーセールスとは、ビジネスの世界において、組織が商品やサービスの販売において外部のパートナー企業を活用する方法を指します。独自の製品やサービスを持つ企業が、他の企業と連携して市場に広めることを目指すのが特徴です。その結果、市場の範囲が広がり、売上が増加する可能性があります。しかし、パートナーセールスは単に売上増加のためだけではありません。ビジネス拡大の可能性を追求すると同時に、ブランド価値の向上や新たな顧客層へのアプローチなど、様々な利点が見込めます。

パートナーセールスの概要

パートナーセールスの主な目的は、企業が製品やサービスをより広範囲に販売することを支援することです。そのためには、パートナー企業との信頼関係の構築と維持が不可欠となります。また、パートナー企業が販売活動を行う上で必要なリソースやツールを提供し、パートナー企業の成功をサポートします。

さらに、パートナーセールスでは、パートナー企業が自社の製品やサービスを適切に理解し、顧客に対して適切に説明できるようにするための教育も重要な要素となります。これは、パートナー企業が自社の製品やサービスの価値を十分に伝えることができ、結果として売上に貢献できるようにするためです。

パートナー営業(セールス)の具体的な仕事内容

パートナーセールスの仕事内容は多岐にわたりますが、主な仕事内容は次のとおりです。

まず、パートナー企業との関係を管理することが求められます。これには、パートナー企業との契約交渉、目標設定、報酬体系の設定などが含まれます。また、パートナー企業との関係を維持するためには、定期的なコミュニケーションとフィードバックが必要となります。

次に、パートナー企業に対する教育も重要な仕事の一部です。これには、製品やサービスの特性、価値提案、販売技術など、パートナー企業が製品やサービスを効果的に販売するために必要な情報を提供することが含まれます。

また、パートナー企業の成功をサポートするためには、市場調査や戦略的な計画作りも重要です。市場のトレンドを理解し、パートナー企業が成功するための戦略を共に考え、行動計画を立てることも求められます。

パートナーセールスのメリット

パートナーセールスは、企業が競争力を持続的に確保し、市場の変化に対応するための有効な手段です。特にそのメリットは、販路の拡大とコスト削減に大きく寄与します。

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代理店のメリットデメリット

販路の拡大

パートナーセールスは、自社の製品やサービスを直接販売するだけでなく、パートナー企業を通じて広範な顧客に提供することが可能です。パートナー企業は独自の顧客基盤や専門的な知識を持っているため、自社が直接アクセスしきれない市場や顧客に対しても、自社の製品やサービスを適切に売り込むことができます。

これにより、自社の製品やサービスの露出度が増え、売上の向上に直結します。また、異なる地域や市場にアクセスすることで、新たなビジネスチャンスを掴むことも可能になります。

コストの削減

パートナーセールスは、自社の販売部門の負担を軽減し、それによりコスト削減に貢献します。パートナー企業が自社の製品やサービスの販売を手助けすることで、自社での営業活動やマーケティング活動の範囲を絞り込むことができます。

この結果、営業やマーケティングの人員を効率的に配置し、資源の最適化を図ることが可能です。また、パートナー企業が販売活動を担当することで、自社の営業スタッフが他の重要な業務に集中する時間を確保できます。

さらに、パートナー企業が自社の製品やサービスを販売する際に必要な教育やトレーニングのコストも、パートナー企業と共有することが可能です。これにより、教育やトレーニングのコストを削減でき、それが全体の業績向上に寄与します。

パートナーセールス導入のデメリット

パートナーセールスは、新たな販路を開拓する上で重要な役割を果たしていますが、一方で導入する際には注意すべきリスクや注意点もあります。ここでは、パートナーセールスを導入する際に考慮すべきデメリットやリスクや注意点について、詳しく解説していきます。

パートナー企業選定のリスク

パートナーセールスでは、代理店や協力会社などのパートナー企業を選定する必要があります。しかし、選定ミスが生じた場合には、業績悪化やブランドイメージ低下などのリスクがあります。そのため、パートナー企業を選定する際には、事前に十分な調査を行うことが重要です。また、代理店契約の締結前には、代理店に対してリスクを周知し、取引の基本方針を明確にすることが求められます。

売上高の不確実性に対する注意

パートナーセールスでは、代理店が製品の販売を行い、代理店による売上高がパートナー企業の売上高に直結します。しかし、代理店の販売力や売上高に関しては、不確実性があります。そのため、代理店のパフォーマンスをモニタリングすることが重要であり、不確実性に対するリスクを事前に把握する必要があります。

販売促進費用の増大に対するリスク

パートナーセールスを展開する際には、代理店に対する販売促進費用を負担することがあります。しかし、代理店数が増加した場合には、販売促進費用が増大する可能性があります。

例えば適切な手数料設計ができておらず、許容できるCACを超えて手数料を払ってしまうケースです。例えば、申込に対して手数料の成果地点を置き、パートナーが申込を大量に獲得してきたにも関わらず、継続率が悪く、支払った手数料が回収できなるリスクなどが挙げられます。

このような問題を防止するためにも、事前の手数料設計を正しく設計することでリスクを最小化することができます。

パートナーの不適切な営業に対するリスク

パートナーは手数料を売上としているため、手数料目的による不適切な営業を行う場合があります。

例えば、パートナーが顧客に対して虚偽の情報を提供したり、不当な勧誘を行ったりする場合があります。これらの問題が発生すると、自社のブランドイメージが損なわれたり、法的問題に発展することがあります。

その対策としては下記があげられます。

  1. パートナーとの契約書に明確な規定を設ける:パートナーとの契約書には、営業方法や利益配分のルール、コンプライアンスに関する規定などを明確に記載しておくことが重要です。また、違反行為が発生した場合の罰則規定も設けておくと良いでしょう。
  2. パートナーの営業活動を定期的にモニタリングする:パートナーが適切な営業活動を行っているかを定期的にモニタリングすることも重要です。営業報告や顧客対応の記録を確認し、問題があった場合には早期に対応することが大切です。
  3. パートナーの選定には慎重になる:パートナーを選定する際には、その企業の歴史や信頼性、財務状況などを調査することが重要です。また、過去に不祥事があった企業や、自社のビジネスモデルと合わない企業とは契約しないように注意が必要です。

効果的なパートナーセールスの戦略の立て方

ここでは、パートナーセールスの手順やポイントについて解説していきたいと思います。

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代理店の新規開拓・契約締結

効果的なパートナーセールス戦略の立て方の一つとして、代理店の新規開拓・契約締結が重要です。企業は、自社の製品やサービスに適した代理店を見つけるために、業界知識や市場動向を把握し、適切なターゲティングを行う必要があります。また、長期的なパートナーシップを築くためには、代理店との信頼関係を構築し、双方にとってメリットのある契約内容を締結することが重要です。

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営業戦略の立案

パートナーセールス戦略を立案する際には、自社のビジネスモデルや製品・サービスの特徴、ターゲット市場などを考慮して、最適な営業戦略を策定する必要があります。

営業戦略の立案にあたっては、代理店が適切に販売できるように、製品やサービスの特徴や優位性を明確に伝えることが重要です。また、代理店に販売ノウハウやマーケティング支援を提供することで、より効果的な営業戦略を実行することができます。

代理店への営業支援・フォロー

代理店への営業支援・フォローは、パートナーセールス戦略の成功に不可欠です。企業は、代理店に対して製品やサービスの知識や営業スキルを提供し、売上目標達成をサポートすることが求められます。また、定期的なコミュニケーションを通じて、代理店との関係を維持・強化することが重要です。

以下で例をあげたいと思います。

・情報提供:自社の新製品やサービス、キャンペーン情報など、代理店が知っておくべき情報を適宜提供しましょう。情報を共有することで、代理店との信頼関係を構築できます。

・教育・トレーニング:代理店の営業担当者に製品やサービスの詳細な情報を提供し、セールストークのトレーニングを行いましょう。代理店の営業担当者が製品について十分に理解していることで、顧客に対して適切なアドバイスができるようになります。

・マーケティング支援:代理店が販売促進活動を行う際に、販促物の提供や販促方法のアドバイスを行いましょう。代理店の販促活動が成功することで、自社の製品やサービスの認知度が高まり、販売促進につながります。

顧客管理や情報共有の方法について

パートナーセールスでは、代理店が顧客と直接やり取りすることが多く、顧客情報の管理や情報共有が重要です。顧客情報の管理方法や情報共有のツール、代理店とのコミュニケーション方法など、パートナーセールスにおける顧客管理のポイントを把握し、実践することが必要です。

パートナーセールス育成方法

成功するパートナーセールスの背後には、確固とした戦略とパートナー企業への適切な育成が存在します。その鍵となるのがトレーニング、KPI(Key Performance Indicator)の設計、アクションデータの可視化、そしてそれらを用いた標準化です。

トレーニング教材の準備

まず最初に必要なのが、パートナー企業が製品やサービスを理解し、顧客に適切に紹介できるようなトレーニング教材の準備です。この教材は、製品やサービスの詳細、価値提案、売り方、そしてトラブルシューティングなど、広範な情報を網羅する必要があります。

トレーニング教材を作成する際には、パートナー企業がそれを簡単に理解し、すぐに使用できるような形にすることが重要です。例えば、ビデオチュートリアルやスライド、FAQ、マニュアルなどの形で情報を提供すると良いでしょう。

さらに、トレーニングは一度きりのものではありません。市場の変化や製品・サービスのアップデートに対応するため、定期的なトレーニングや情報更新が必要となります。

KPIの設計

次に、パートナーセールスの成功を測定するためのKPIの設計が重要です。KPIは、パートナー企業のパフォーマンスを定量的に評価し、その結果に基づいて改善策を策定するための重要なツールとなります。KPIは、パートナーセールスにおける様々な要素を反映するものを含めるべきです。ただし、KPIは明確かつ測定可能なものでなければならず、それらがビジネス目標に直結することが重要です。

詳しくパートナーセールスにおけるKPI設計について知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。

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社内のアクションデータ可視化

パートナーセールスの成功を確実にするためには、アクションデータの可視化も必要となります。このアクションデータとは、パートナー企業がどのような行動を取っているのか、またその結果がどうなっているのかといった情報です。

これにより、パートナー企業のパフォーマンスをリアルタイムで把握し、必要な場合は迅速に改善策を講じることが可能となります。また、可視化されたデータを用いてパートナー企業と共有することで、彼らも自身のパフォーマンスを把握し、自己改善を促すことができます。

KPI・アクションデータを用いた標準化

最後に、KPIとアクションデータを用いて、パートナーセールスのプロセスを標準化します。これにより、パートナー企業ごとのパフォーマンスのバラつきを減らし、全体としてのパフォーマンスを高めることができます。

標準化のプロセスでは、最もパフォーマンスの高いパートナー企業の行動や戦略をベストプラクティスとして定義し、それを他のパートナー企業にも適用します。また、逆にパフォーマンスが低いパートナー企業については、その原因を特定し、改善策を提供します。

パートナーセールスの育成は、これらのステップを通じて行われ、その結果としてパートナーセールスの全体的なパフォーマンスを向上させることが期待できます。ただし、これらのステップは継続的な取り組みが必要で、一度設定した後に放置してしまうと、その効果は半減してしまう可能性があります。定期的なレビューと更新、そしてパートナー企業とのコミュニケーションが、パートナーセールスの育成を成功させるための鍵となります。

パートナーセールスの事例

パートナーセールスの成功は、企業間の協力と信頼に基づいています。特に、共通の目標に向かって効果的に連携することで、双方の強みを最大限に活用し、ビジネスの成長を促進することが可能です。以下、具体的な事例を通じて、パートナーセールスの実際の効果とその適用方法について詳しく見ていきましょう。

セーフィー株式会社

セーフィー株式会社は、クラウド録画型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」を運営しており、高画質・高セキュリティな映像サービスを提供しています。このサービスは、防犯・監視システムから店舗管理やマーケティング活用まで、多岐にわたって利用されています。

セーフィー株式会社は、オリックス株式会社、関西電力株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、NECキャピタルソリューション株式会社などと資本業務提携を行い、総額9.7億円の資金調達を実施しました。この提携により、各社の強みを活かして、セーフィーのサービスをより多くのお客様に提供し、技術開発を促進しています。

具体的な取り組みとしては、オリックスが「Safie」の販売促進とリースを活用した導入支援を行い、関西電力グループが鉄塔・電柱などのインフラ資産と映像伝送の光回線、モバイル通信、IoT等の情報通信事業基盤と「Safie」と連携する共同開発を進めています。キヤノンマーケティングジャパンは、映像クラウドの新サービスとして、カメラ機器と「Safie」サービスの提供とサポートを行い、NECキャピタルソリューションは、映像をエビデンスとして利用するニーズに応えるための連携を進めています。

このような協業により、セーフィーは「未来を可視化する画像解析プラットフォーム」として、街や地域の安心、施設の防犯や安全管理、防災支援、ビジネスの効率化・円滑化から、マーケティング支援、映像コンテンツとしての活用まで、あらゆるシーンやニーズに合わせたサービスを提供できる環境を構築しています。

カオナビ

カオナビは、人事労務管理システムを提供する企業で、多岐にわたる業界と連携しています。、カオナビは他の企業との連携を通じて、自社のサービスを拡充し、顧客に対して付加価値を提供しています。

例として、ある企業とのパートナーシップを通じて、カオナビは人事労務管理のプロセスを効率化し、顧客の業務負担を軽減するソリューションを開発しました。この連携により、顧客は人事労務の手間を削減し、より集中してビジネスの成長に取り組むことができました。

この事例から、パートナーセールスは単に商品やサービスを共同で提供するだけでなく、相手方のニーズに応じてカスタマイズされたソリューションを開発することも可能であることがわかります。カオナビのような戦略的な連携は、企業間の信頼関係を深化させ、双方にとって価値のあるビジネスモデルを築く上で欠かせない要素となっています。

パートナーセールスの成功は、相手方のビジネスモデルやニーズを深く理解し、共通の価値観を共有することから始まります。カオナビの事例は、そのような理解と共感に基づいて成功を収めた典型的なケースであり、今後のビジネス戦略において参考にすべき点が多く含まれています。

ラスク

ラスクは、日本のソフトウェア企業で、特に中小企業向けのITソリューションを提供しています。その中でも「楽楽精算」などのバックオフィス向けの商材が知名度が高く、業務効率化を実現するプロダクトとして注目されています。

ラスクのパートナーセールスの事例を見ると、西日本におけるオフラインチャネルの確立がミッションとされており、複数の商材の販売戦略を策定・実行しています。特に、パートナーのビジョンや経営戦略に沿った形での提案が重視されており、長期的なビジネスパートナーへの成長を目指しています。

具体的な業務内容としては、既存のパートナーに対する提案や勉強会の開催、新しいパートナーの新規開拓などが挙げられます。提案の際には、パートナーのホームページに記載されている情報を基に、中長期的戦略や価値提供についての仮説を立て、ラクスの製品がどのように貢献できるかを提案しています。

ラスクのパートナーセールスの特徴は、パートナーのビジョンや経営戦略にまで踏み込んで提案する姿勢にあります。これにより、短期ではなく長期的なビジネスパートナーになることを目指し、パートナー、エンドユーザー、ラクスそれぞれのメリットを最大化しています。

まとめ

パートナーセールスとは、自社製品を直接販売するのではなく、代理店を通じて販売する手法です。具体的な仕事内容は、代理店の新規開拓・契約締結、営業戦略立案、代理店への営業支援・フォローなどがあります。

メリットとしては、販路拡大が容易になることや、代理店のネットワークを活用できることが挙げられます。一方、デメリットは、自社の製品に対する直接のコントロールが難しくなることや、利益の一部を代理店に譲ることが挙げられます。

効果的なパートナーセールス戦略を立てるためには、代理店との良好な関係を築くことが重要です。戦略立案や、代理店への営業支援・フォローを行い、販路拡大を目指しましょう。

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